(せんたうろ)
アカデミー賞(日本時間2/10発表)にノミネートされている韓国映画「パラサイト」をガラガラの映画館で観てきました。韓国でしか撮れない映画だ、と強く思いました。見てよかったけど、二度と見たいとは思わないし、人を選んでおすすめすることはあるかも知れないです。
私は、クリエイターの無茶な独創性に任せてある規模以上の商業映画を撮るのは日本くらいのものだと思っていたし(だからひどいことになることもある)、ハリウッドなり中国なり手の込んだマスプロダクト的な商品は安心して見られる一方、結末がある程度予見できる気がして、ハラハラ、ドキドキはあまりしないです。インド映画のバーフバリなどは、途中で破格の英雄譚だな、とリズム感が掴めるので激しくノれるのだけど、この映画は、あるべき結論というか、こうなるべきだろうという展開が全く見えない。リズムも(観客が思うような)テーマも途中で変調するので、こんなメチャクチャな展開をしておいて、まだ終わりにならないのか、と何度も思いました。韓国以外の国では撮れないでしょう。この映画。いや、監督独特の調子があると評されているので、この監督にしか撮れないのかもしれない。ジャンルは何になるんだろうか。あるシーンでは「志村けんのバカ殿様」の舞台構造をずっと考えてしまい、あるシーンでは2019年の関東に来た台風のことを考えてしまう。
ぼくの映画が上映されている2時間の間、みじろぎもできず、身動きもできない、そんな状態になってほしい
象徴や隠喩を拒否したい、という気持ちがある
「監督、このシナリオはジャンルとしてはいったい何なんですか」と聞かれて、「自分自身もよくわからない」と答えていました。
いろんな点で主人公サイドを肯定できないし、その他の登場人物にも感情移入はできない。ただひたすらに、観客が共犯者のように、巻き込まれる感覚がある。悪行がつまびらかになるべきだろうと思う一方で、そうはならないことに安心してしまう。韓国映画というと、「黒い家」のリメイクなど、ホラー色の印象があるなあ、と考えていて、そういえば、「オールドボーイ」も趣向は違うけど、舞台設定の雰囲気に近いものを感じるな、とぼや〜っと考えていたら、どうやらポン・ジュノ監督の好みのよう…。
監督は「映画化の話が来る前に、ポン・ジュノ監督から面白いと勧められていた
下記の記事はまた色々解説していて面白いですが、この記事は、観終わった人が読むべきですね。他の人の感想を聞きたくなる作品は、何か得をした気になります。